良いアンティーク銀器は、これからますます手に入りにくくなる理由
なぜ今、アンティーク銀器の価値が上がっているのでしょうか?

ここ1〜2年で、金の価格が大きく上がったことをご存じの方は多いと思います。しかし実は、銀の価格も同じように大きく上昇しています。

昨年12月末の急騰から少し下がったとはいえ、また上昇の兆しを見せており、現在の銀価格は数年前に比べると3倍近くになっています。
そのため、アンティーク銀器の世界でも、以前と同じ価格では手に入らなくなってきています。
銀そのものの価値が上がっている
アンティーク銀器は、美しさや歴史だけではなく、「銀」という素材そのものにも価値があります。
銀器は、もし極端な話をすれば、溶かしてしまっても銀として価値があります。
そのため、銀価格が上がると、アンティーク銀器にも「これ以下では売れない」という最低価格ができます。
以前は、状態のあまり良くない銀器や、装飾の少ない銀器は、「銀の重さ程度の価値=スクラップ」として安く売られてしまうことがありました。
しかし今は、銀そのものの価値が高くなっているため、同じ銀器でも以前より高い価格でなければ手放せなくなっています。
昔に仕入れた銀器も、なぜ値上がりするの?
「昔に安く仕入れたものなのだから、昔の価格のままで売れるのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、アンティーク銀器を扱っていると、ひとつ売れたら、また次に同じような銀器を探して仕入れなければなりません。
ところが、今は次に仕入れる銀器が、もう以前の価格では手に入らなくなっています。
例えば、以前は30万円で仕入れられたヴィクトリア時代のティーセットが、今では60万円しなければ買えない、ということも珍しくありません。
つまり、現在お店にある銀器も、次に同じものを仕入れるためには、以前より高いお金が必要になるため、価値が上がっていくのです。
これから特に価値が上がりやすい銀器
これからの時代、すべてのアンティーク銀器が同じように値上がりするわけではありません。
特に価値が上がりやすいのは、次のような銀器です。
純銀であること
18世紀〜19世紀までの、古い時代のもの
珍しいデザインや、手の込んだ装飾があるもの
良いメーカーのもの
コンディションが良いもの
ティーセット、ティーポット、ティーストレーナーなど人気の高いもの
たとえば、花の摘みがついたティーポットや、ハンドエングレービングや打ち出し彫刻が美しいティーセット、美しいデザインのティーストレーナーなどは、今後さらに見つけにくくなっていくと思われます。
一方で、シルバープレートで状態が悪いもの、よくある大量生産品などは、価値が上がりにくい傾向があります。
これからは、「ただ古いだけ」ではなく、「古くて、状態が良くて、珍しいもの」が、ますます価値を持つ時代になっていくでしょう。
なぜ、これからも銀の価格は高くなりやすいのでしょうか?
昔、銀は主に銀器やアクセサリーに使われていました。
しかし今は、銀はさまざまな新しい技術にも必要とされています。
たとえば、
ソーラーパネル
電気自動車
半導体
スマートフォンなどの電子機器 銀は電気をとてもよく通すため、こうした分野に欠かせません。
世界中でこれらの需要が増えているため、銀そのものの需要も増えています。
つまり、これからも銀価格は高くなりやすく、それに伴って、アンティーク銀器の価値も支えられていく可能性があります。
アンティーク銀器は、もう同じようには作れない
100年以上前のアンティーク銀器には、今では失われてしまった職人の手仕事の美しさがあります。
厚みのある銀、繊細なハンドエングレービング、盛り上がる花びらや流れるようなスクロールの躍動感がある打ち出し彫刻、優雅なフォルム、花の摘み、複雑な装飾。
こうしたものを、もし今まったく同じように作ろうとすれば、とても高価になってしまいます。
しかも、古い銀器は数が限られています。壊れたり、溶かされたりして、年々少なくなっています。
そのため、アンティーク銀器は今後ますます、「欲しい時に買うもの」ではなく、「良いものを見つけた時に手に入れるべきもの」になっていくでしょう。
特に、状態が良く、美しいデザインを持つ銀器は、これからますます希少になっていきます。
アンティーク銀器は本来は楽しむものですが、銀価格の上昇や希少性によって、将来は“美しい資産”として見られる可能性が出てくるでしょう。
最後に
アンティーク銀器の価値は、単に古いから高いのではありません。
銀そのものの価値、もう作れない手仕事、美しいデザイン、希少性。
そうしたものが重なって、これからのアンティーク銀器の価値を支えていくのだと思います。
今、お手元にある銀器も、数年後には、今以上に貴重なものになっているかもしれません。