1880年から1890年ごろと思われる、純銀製かと思われるような、非常に細かな彫刻が華麗な、シルバープレート ヴィクトリアンロココスタイルティーセットをご紹介いたします。
全面に施されたハンドチェイシング(ノミとハンマーを使った手作業の打ち出し彫刻)の細かさ、美しさに圧倒されます。ここまで、細工の細かいものは純銀製のものには見られますが、シルバープレートではほとんど見つかりません。
ヴィクトリアンロココの華麗さが好きで、よく探しているのですが、シルバープレートでヴィクトリアンロココスタイル(イギリスではルイスタイルの呼び名のほうが一般的です)のお品自体がとても少ないですが、ここまで彫刻の美しいものは、見つけるのが非常に困難です。
デザインはとても古典的で、ひとつひとつ丁寧に打ち出されたお花や、スクロールの彫刻がポット、シュガーポット、ミルクジャグそれぞれの前後にびっしりと施され、注ぎ口には鷲や、ギリシャ神話の神様と思われる彫刻がいっそう豪華さを高めています。ポットの蓋や、シュガーポット、トミルクジャグのボーダーに施されたお花とスクロールの彫刻、木の実をつまもうとする小鳥の摘みまで、丁寧に形成されています。
豪華な透かしの入った脚部も彫刻が美しく、非常にしっかりとハンダ付けされており、全体的に老舗シルバースミスのとても丁寧な仕事ぶりがうかがえます。
こちらのお品は最近になって純銀をかけなおしており、非常にすばらしい、エクセレントコンディションです。
純銀のかけなおしはこのお品の雰囲気に合った、アンティーク仕上げにしており、ぴかぴかすぎず、とても良い風合いが出ています。
ハンドルの断熱材は樹脂製のものとなっており、このことから、もう少し新しいもの、30年代ごろのものかとも思ったのですが、どう見てもこの仕事はそんなに新しいものではなく、メーカーの刻印から見ても、1880から1890年ごろのものと思ったのですが、念のため 知り合いの老舗アンティークシルバーショップのオーナーにも見せたところ、そのくらいのものだと思うということで、見解が一致しました。よくこの時代のものは断熱材を替えているものに出会いますので、たぶん、後年(といっても1930年代ごろ)に断熱材が、替えられたものではないかと思っております。落ち着いた色合いで、目立たず、古いシルバーに良くあっています。
メーカーはJames Dixson & Sons シェフィールドの、1806年創業と言いますから200年以上前に創業している、大変古い老舗です。このシルバースミスもイギリスを代表する、最も重要なシルバースミスのひとつです。純銀のシルバースミスから初め、1840年ごろに電気めっき製法が開発されると、電気めっきの製品をかなり手がけるようになりました。
1851年の大英博覧会では、電気めっき製品を数々出展し、いくつもの賞を受賞したとの記録があります。また、このメーカーが、得意としていたのは、この商品のようなEPBM
(Electroplated Britania Metal)という合金 の品々で、ニッケルシルバーよりも若干合金がやわらからチェイシングの作業がしやすかったのか、このような装飾のより細かい、豪華な製品に人気があったようです。
非常に美しいヴィクトリア時代の息吹が感じられるすばらしいお品です。
ぜひこの機会にあなたのコレクションに加えてください。
ティーポット
幅 約25cm(注ぎ口から取っ手の一番広いところまで)
高さ 約20.5cm(蓋のつまみのトップまで)
容量 約1.2リットル
重さ 約847g
シュガーポット
幅 約20cm(取っ手の端から端まで)
高さ 約11cm
開口部直径 約9cm
重さ 約500g
クリーマー
幅 約13.5cm(注ぎ口から取っ手の一番広いところまで)
高さ 約13.5cm
重さ 約302g
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