ヴィクトリア時代、ヴィクトリアンロココの薔薇、お花とスクロールの打ち出し彫刻が見事な、素晴らしいティーケトルとスタンドのセットをご紹介いたします。
ティーケトルは、昔はキッチンが地下にあり、階上の居間からは遠かったため、ティー用のお湯が冷めないように、沸かしたお湯をケトルにいれ、下からオイルのヒーターで温めておいたものです。 もちろん、全部、メイドがやってくれていたのですね。
こちらのお品は、オイルと芯を入れるポットがついていますので、オイルランプなどのオイルと芯を使っていただければ、今でも十分ティーケトルとしてお使いいただけます。
メーカーはMartin, Hall & Co. 当店でも何度かご紹介しているヴィクトリア時代を代表するシェフィールドのシルバーメーカーの一つです。 多分、年代はヴィクトリア時代中期1860年ごろものもと思っています。
このシルバースミス顕著なのは打ち出し彫刻の美しさです。どの品でもモチーフのどこをふくまらせ、どこを抑えるか、バランスが絶妙で、本当に立体感のある、素晴らしい彫刻を見せてくれます。
この品も中心のスクロールと薔薇やお花の彫刻にも圧倒されますが、、注ぎ口は美しいフルーテッドと呼ばれるたて溝をつける、装飾技法で装飾されており、そこへスクロールや葉などが細かくフラットチェイシングで彫刻されています。
ふたのまわり、ふたの上にも同じくフラットチェイシング(打ち出し彫刻だが、凹凸をつけず、金属を削り取って彫刻するエングレーブメントと同じ効果を狙った彫刻法)で、美しい彫刻が施されています。
スタンドにももちろん、スクロール、薔薇、お花、葉などの美しいモチーフが手作業による打ち出し彫刻で装飾されています。
注ぎ口、取っ手、金具、蝶番などの溶接部分の周りにも細かくブライトカットの彫刻が施されて、このシルバースミスの腕の確かさ、仕事の細かさにはもう、本当に、脱帽ものです。
ベース部分は、蝶番のような輪に鍵の形の棒を差し込んでケトル部分と結合できるようになっています。この鍵の形を棒を差し込んで、まわすとちゃんと動かなくなるようにロックされます。棒や輪を見ても特別な仕掛けは見えないのですが、ヴィクトリア時代の職人さんの芸の細かさにはいつも感心させられます。
状態は、最近、シルバースミスから純銀のかけ直しを終えて戻ってきたばかりのエクセレントコンディション。内側もきれいにかけなおしています。
写真にも写っていますが、一か所、ふたと彫刻部分の間に多分、制作当時からあったと思われる、マークがあります。ほんの少し、金属の面が均一になっていないようです。実際にはほとんど目立ちません。
ほかにも1,2か所、目立たない、小さなへこみがあります。スタンドは2mmほど一つの脚が浮き、少々、がたがあります。安定が悪くなるほどではございません。
アフタヌーンティーのテーブルを華やかに演出してくれる、とても素敵なティーケトル。全体の高さも36.5cm程度と、大きすぎず、使いやすいサイズかと思います。容量は1.8リットル程度です。
この機会にぜひ、あなたのコレクションに加えてください。
サイズ
幅 約24cm(注ぎ口から反対側のケトルの一番丸みのあるところまで)
高さ 約36.5cm(全体的の高さ。取っ手の先まで)
ケトルの高さ 約25cm(取っ手の先まで)
ケトルの容量 約1.8リットル
重さ:約1.55kg(ポットのみ約955g)