ヴィクトリア時代、中期から後期にかけての手彫り彫刻の大変美しいデザートカトラリー12組セットをご紹介いたします。
メーカーは、Willam Hutton & Son. 1800年創業の非常に古い老舗シルバーメーカーです。メーカーズマークにより、1864年から1886年ごろまでに作られたものだということがわかります。
こちらのデザートカトラリーの特出しているところはナイフ、フォークのブレードの彫刻の美しさ、端正さもさることながら、白蝶貝ハンドルの質の高さ、また、装飾彫刻の美しさです。
白蝶貝は大振りの、茶色などの色味の入っていない、とても美しい乳白色です。気泡も入っていません。
白蝶貝の輝きは、まるで生成りのシルクを無造作に折りたたんだような、複雑な輝き方をします。真珠と同じ真珠層があるからで、そのために光の当たり方によって輝きが違います。特にこのセットの白蝶貝ハンドルはとても美しい虹色に輝きます。いつまで見てても飽きない、幻想的な美しさです。
ブレードの彫刻はフォークナイフとも英国のデザートカトラリーとしては稀少な両面の彫刻となっています。彫刻に陰影をもたらすため、ぶどうの葉と実の部分は非常に細かいブライトカット技法で彫刻されています。これらは全て手彫りですので、これだけでも大変な作業です。
このお品はプロのシルバースミスによって、磨きだしをしておりますので、ブレードは曇りのない、鏡面状態です。(古いお品ですので、少々の磨きキズ、使用キズはございます)
それに加えこちらのお品には、白蝶貝のハンドル全てに家紋が刻印されております。この時代のものに家紋が刻印されている、ということは、貴族か、よほどお金持ちのおうちから出たものだということですが、よく見てみますと、全て24本にひとつずつ手彫りで刻印され、それに落ちない黒いインクで溝を埋めるようになぞられています。この作業にどのくらいの時間がかかったのか、想像するだけで気が遠くなりそうですね。
コンディション:ナイフ、フォークとも、ブレードはプレートロスもなく、使用キズ、磨き傷も少ない、エクセレントコンディションです。
白蝶貝:1本のフォークの一番先の丸い部分にカケがございます。写真でお確かめください。それ以外には、目立つキズもなく、ポリッシュされたばかりかのような非常に良いコンディションと思います。
デザートカトラリーですので、小さめですが、日本人の手になじみやすいサイズかと思います。しっかりとしたつくりですので、デザートだけでなく、普通のお食事にも使えるかと思います。(刃付けがされておりませんので、硬いものは切れません)
後年になってからだと思いますが、このカトラリーのマホガニーの共箱には手作りのカバーがかけられており、新しいもののようにすばらしいコンディションです。ちゃんと鍵もついております。
私はこれまで、自分集めていたものからヤフオク時代までに数多くの白蝶貝ハンドルカトラリーを扱ってまいりましたが、これはその中でも間違いなくトップレベルにランクするものだと思います。
ぜひ、この機会にこのすばらしいカトラリーをあなたのコレクションに加えてください。
サイズ
ナイフ
長さ: 約21.1cm
重さ: 約46g x 12
フォーク
長さ: 約17.2cm
重さ: 約34g