2017年04月19日
こちらのシルバープレートのティーケトルは、美しい薔薇やお花、葉模様とともにスクロールの手彫り打ち出し彫刻で装飾された、典型的なヴィクトリアンロココスタイルです。
シルバープレート製ですので、制作年の刻印はありませんが、製作者であるFrederick Ellis Timm & Co.は1850年から1918年まで活動していたシルバースミスですので、その間のもの、おそらくヴィクトリア時代後期のものだと思っています。
イギリスではルイスタイルと呼ばれる、フランスのロココの影響を受けたスタイルは鳥の摘みがよく使われます。 ダウントンアビーのバイオレット夫人のお屋敷で使われてたティーセットもこのスタイルですね。
美しいバラなどのお花の彫刻に躍動感のある葉模様や、スクロールを組み合わせた素敵なデザイン。
装飾と熱除けを兼ねたスタンドの透かし細工も見事です。
ケトルの容量が2.5ℓ程度ある大き目のティーケトルですので、お教室などで生徒さんがいらっしゃるテーブルの装飾や、ティールームなどの装飾に向いているかな、と思います。
ティーケトルは 昔はキッチンが地下にあり、階上の居間からは遠かったため、アフタヌーンティー用に沸かしたお湯を入れ、下からオイルのヒーターで温めておいて、いつでも熱いお湯をポットにつぎ足すことができるようにしたものです。
ヴィクトリア時代にはイギリスでは中流階級の一番下程度に位置する家庭でも一人くらいはメイドを雇っていたもので、このような仕事はすべてメイドの仕事でした。
私が現在住んでいるヴィクトリア時代後期に作られたフラット(日本でいうマンションのこと)は、ベッドルームが二つ、キッチン、居間、ダイニングルームという、今の感覚では大きめといえる大きさですが、当時は中流といってもおそらく下の方の中流家庭のための集合住宅だったのだと思います。それでも小さなメイド部屋がついていることに驚かせられます。 大きめといっても階下のないフラットでメイドと一緒に住むのはかなり窮屈だったと思うのですが、当時の中流階級以上の人々は、メイドがいない生活は考えられなかったのでしょうね。
商品の詳細は
http://victoriantearoom.ocnk.net/product/1348
動画もございます。
https://youtu.be/llMTyYMmi8c