2013年08月28日
ネットショップを始めてから早、1年近くが経とうとしています。
たくさんの方々に支えられてここまでやってこれて、本当に皆さんに感謝申し上げあげます。
お店をやり始めてから、銀製品に関して、いろんな質問を受けるようになりました。
銀製品のメンテナンスの仕方が質問の中では多いですが、銀製品の使い方についてもよくきかれます。
たとえば、フィッシュのカトラリーをティータイムの時にも使っていいの? ティータイムのカトラリーをディナーに使ってもおかしくない?
これが、ヴィクトリア時代のマナー教室でしたら、答えは 「使ってはいけません。おかしいです」 です。
絶対にフィッシュのカトラリーは ティータイムに使ったらダメですし、ティータイムのカトラリーをディナーに使うなんて、もってのほかです。
でも、21世紀を生きる私の考えとしては、「もちろんどんどん、どんなことにでも使ってください」 なんですよね、
フィッシュのカトラリーって、私の大好きな白蝶貝のハンドルを使ってることが多く、ブレードの彫刻がすごくきれいなものが多い。
こんなきれいなもの、使えるときに使わないと損ですよね。 (人生短いですし)
西洋料理の魚料理をしょっちゅう作られて、お客様をおもてなしすることが多い方なら、フィッシュカトラリーはフィッシュの時だけ、というのももちろん、アリだと思うのですが、普通の方はそんな機会は少ないですよね。
それなら、ご自分でお使いになりたいときに、それがティータイムでも、ちっとも構わないのではないか、と私は思うのです。
最近は、ミシュランの三ツ星レストランでも、魚料理でも魚用のカトラリーを出さなくなっています。そこまで、昔ほど、形式にはこだわらなくなっているんですよね。
形式よりも、おいしいものをおいしく食べよう!というのが現代だと思います。 1980年代には、まだ、高級レストランではジャケットとタイは着用してください、というお店が多かったですが、今はほとんどのところが、スマートカジュアルでOKです。
ヴィクトリア時代のイギリスというのは、ちょっとマニアックな時代で、どんな食べ物にも、それ専用の銀器がある、といわれた時代で、今現在でも、マーケットなどを歩くと、「これっていったい何のためのフォークだろう」と思うような、ちょっと違う形のものがあったりします。
それって、必ず、特別な用途があったものなんですよね。
私の大好きなエドワード朝の話を描いたイギリスのテレビドラマ、「ダウントン アビー」で、 御屋敷に雇われた、新しい、サーバントの男の子が執事の男性にカトラリーテストを受けている場面がありました。
ずらっと、カトラリーをテーブルに並べて、これはスープ用、これはアイスクリーム用、これはグレープフルーツ用、と用途を当てていくのですが、「これは何だかわかるかい?」ときかれたのはスープ用のスプーンに見えるもの。
答えは 「これはブイヨン用 (多分、肉の出汁で作ったクリアスープのこと)。ブイヨンはスープ皿じゃなくてブイヨン用のボウルに入れて出すんだからね。 スプーンはスープ用でなく、必ずこれを使うこと。」
と、言っていたのがとても印象的でした。その時代には違った用途のスプーンを違うことに使うなど、考えられないことだっただろうし、知らないことは、しきたりを知らない、恥ずかしいことだったのだろうと、想像できます。
でも、今は21世紀。ましてやヴィクトリア時代のイギリスの貴族をおもてなしするっていうわけでもないわけですから、 いろんな銀器をいろんな状況で使われても全く問題ないと思うんですよね。
知らないで使っていると思われるのがいやだったら、「これ、本当はフィッシュ用なんですよね~。でも、あんまりすてきなんで、ティータイムにも使っちゃっているんです。」 とお客様に最初っから言ってしまえば、たとえお客様が、イギリス大使館の大使夫人だって気にしないと思います。
そんなことを思っていた時、私のお客様からとっても素敵なお写真をいただきました。
奥様が、銀器にお庭のお花を飾るのが好きでいらっしゃる、というのはうかがっていたのですが、こうやっても、素敵だなあと。
ヴィクトリア時代のシュガーポットはものすごく大きいので、花器に使ったら、とても素敵というのは知っていましたし、私も使っていますが、なんと、コーヒーポットも、こんな素敵な花器になるんですね。
私は、アンティークの銀器は何でも好きなように使えばいい、と思っているものですが、コーヒーポットやティーポットはポットとして、またはせいぜい水差しとして使える程度かな、と思っていたのですが、こうやって花器として使うこともできるんですね。これは、本当に目からうろこで、考えてみれば、ポットは液体を入れることができるので十分、花器として使えるんですよね。
すごくいいアイデアで、ぜひ、見習いたいと思いました。
K 様、奥様、素敵なお写真、ありがとうございました。
きっと、ほかにも素敵なアイデアでアンティーク銀器を使いこなしていらっしゃる方はたくさんいらっしゃると思うので、「こうやって使うとすてきなんですよ」っていうアイデアがありましたら、お知らせいただけるとすごくうれしいです。
The Victorian Tea Room
ボーイズ直子